安全?危険?すべて自己責任の食品添加物の摂取

数名のインド人に囲まれてインドカレー屋でアルバイトをしたことがある。彼らはガンジス川の上流にあるヨガの聖地・リシケシの出身者たち。実家ではニワトリや牛を飼育し、豆や人参などを自家栽培している、そんな昔ながらの生活を送っていた人もいた。

彼らの中で一番若い30代前半のインド人が、カタコトの日本語でよく言っていた。

「日本のオレンジジュースは、オレンジじゃない。ヨーグルトは本当のヨーグルトじゃない。これは、ダメ!食べちゃダメ。」

日本人が何も思わず口にしている食品は、彼にとっては変な味がする得体のしれない食べ物なのだ。

その味覚は、間違いなく正しい。

だって、一般的に流通しているほとんどの食品には、人工甘味料や保存料、着色料など、食品添加物がたくさん入っているのだから。

自分が口にしている食べ物の原材料を知っていますか?

かくいう私は、食品の専門家ではない。ただ、普通の人よりは食品にうるさい。

インドカレー屋でバイトをする以前は、食品に関わる仕事をしていた。食材から調味料、加工品に至るまで、その道のプロのうんちくに耳を傾け、有機栽培の食材や高級な加工品を試食する機会も頻繁にあった。

そんな経緯から、スーパーで買い物する際、原材料の表示ラベルに目がいくようになった。そこで気になってしまったのが、添加物の表示。

意味不明のカタカナ名添加物がずらりと並び、便利な使い切りサイズのカットキャベツやレンコンに「漂白剤」という文字があった。

同じ醤油でも「大豆・小麦・食塩」というシンプルなものもあれば、それに加え「甘味料、調味料、カラメル色素」などの記載されているものもあった。

以前は、原材料の表示ラベルをチェックするなんて、よほどの健康オタクか神経質な奴だけと思っていた。だが、自分が今まで何を食べていたのか、自分の体が何からつくられているのか、その無知さ、愚かさにやっと気が付いた。

つじつまの合わない原材料表示ラベルを見てみれば、ほとんどの人はそう感じるだろう。

添加物が体に及ぼす影響

私は何を購入してよいのか、すっかり分からなくなってしまい、添加物関係のベストセラー本「食品の裏側―みんな大好きな食品添加物(著・安部 司)」を読んだり、某大学で開催されていた食品の講義に参加したりしてみた。

この本の作者は、食品添加物の元トップセールスマンで、のちにアンチ添加物派となった男性。自分が手掛けた大ヒットのレトルト商品を、自分の妻と子供が喜んで食べているのを目の当たりにし、考えが一辺したという。

結局、添加物が体に与える影響は何なのだろうか?

結論からいうと、「わからない」というのが答えだ。

危険かもしれないし、安全かもしれない。それすらわからない。

世に出回っている添加物は実験して安全だと認められたものだが、それはネズミなどの動物実験であって、短い期間の実験に過ぎない。しかも1つの添加物のみで実験されたものばかり。

人間が複数の添加物をごちゃ混ぜにして摂取したらどうなるか、何十年も継続的に摂取したらどうなるか、そんな実験はされていない。添加物まみれの人間同士から生まれた子ども、その孫にどういう影響があるのかは、誰にもわからない。

つまり、リアルタイムで人体実験をしていることになる。

食品が専門の大学教授いわく、体に異物が入ると自然と排泄されるが、それがしっかりできるのは健康な人のみ。健康といっても、普通に健康というレベルではなく、すこぶる健康な人を指す。5段階でいえば、普通の健康が4で、すこぶる健康は5に値する。

そうなってくると、もう「たられば」の世界としか言いようがない。

食品添加物との付き合い方

一般的に流通している野菜には大量の農薬が使用されている。養殖の魚、家畜は何をエサにしているか不明である。成長を促進するホルモン剤を使用している牛や豚、魚もあるという。それだって、間違いなく人工的な何かである。

しかも、それらは原材料ではないため、表示ラベルには記載されない。消費者は判断しようがないのだ。

安価で大量生産の食品ばかりが流通する日本では、得体のしれない添加物を避けるのは難しい。そして、あの理解不能なカタカナ名の添加物をいちいち覚えるのは、正直面倒。

食品添加物と適当に付き合っていく解決策は、こうだ。

「原材料の表示ラベルに謎のカタカナ添加物がいつくも登場するものは避け、バランスよく腹八分目で食べる」

ありきたりな答えかもしれないが、今すぐできる一番簡単な方法だ。

「バランスの良い食事」と「腹八分目」の重要性

「パランスの良い食事」、「腹八分目」というのは、ことわざ並に日本に根付いているワード。薄っぺらな広告キャッチフレーズのようだが、意外と深い意味があり、天皇家では今でもこの食事法を守っているという。

食材にはビタミンB、ビタミンC、リコピンなどの栄養素がある。その各栄養素が活発に働くためには、その働きを促進してくれるまた別の栄養素が必要といわれている。食べ合わせが良い、悪いという話はそこからきている。トマト×キュウリ、梅干し×ウナギなどは、それぞれの栄養素の働きを妨げる悪い組み合わせの代表例である。

ただ、管理栄養士でもない限り、そんなことを日々気にしてはいられない。だからこそ、複数の食材を1回の食事で食べればよいのだ。

そして「腹八分目」で食事を終える。これが大事。

教授いわく、そもそも人工的な食品は悪で、天然は善、という極端な認識は、またちょっと違うという。

実は、天然の食材にも体に何らかの影響を及ぼすパワフルなものもある。たとえば、トウガラシ、大麻などは、それ特有の強力な毒素を持っている。玉ねぎもその類で、人間よりも体積の小さい犬に食べさせてはいけないと言われるのは、そういった理由から。

満腹になるまで食べるということは、栄養素の悪循環に陥りやすいという。たとえば、ラーメン、丼ものなど、いわゆる「主食+単品おかず」のような食事スタイルは特に注意すべき。

万が一、各栄養素の働きを妨げる献立であれば、どうしようもなく、もったいない食事になってしまう。だからこそ、「バランスよく、腹八分目で」と昔から言われているようだ。

身体が喜ぶ食べ物を意識的に選択しよう

日本では、早い、安い、旨いがいまでも主流。オーガニック食品はなぜかファッション扱いで一部のみでブームになっている。移民が多い大陸系の国では、思想にもメニューにも多様性があり、寛容である。

無農薬・有機野菜や牧草だけを食べて育ったグラスフェッドビーフを扱うナチュラル&ヘルシー料理、野菜だけのベジタリアン料理、動物性食材を一切使わないビーガン料理などの専門レストランが多数あり、普通の飲食店でもこれらのメニューを取り扱っていることが多い。

宗教上の理由、または何かのこだわりから、そういった特殊な食文化があるのかと島国・日本人は思いがちだが、それは違う。たとえ普段はベジタリアン、ビーガンでなくても、食べ過ぎた翌日や、週に1度のリセット食としてヘルシー料理を好んで食べる人がいる。そういった利用の仕方もされているのだ。

いろんな面ですっかり遅れた国となった昨今の日本では、海外のように多くの選択肢はない。でも、同じメーカー、同じ商品ばかりが並ぶスーパーの中に、まともな食品は必ずある。欧米諸国では禁止されている赤色着色料(赤102号など)を使用していない梅干し、必要な原材料だけで製造されている醤油、みりん、味噌などもある。少ないながらも、安心して食べられる食品を選べる、恵まれた状況にある。安いから、有名メーカーだからとか、そういう方向に意識が向いていただけなのだ。

何を食べるかは、すべて自己責任。どんな体にしたいかは、自分で選べるのだ。人間の体は、食べ物でつくられている事実を忘れてはいけない。

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