魂レベルの美しい愛を描く感動映画『チョコレートドーナツ』

映画『チョコレートドーナツ』の印象は、なんだかとっても悲しい話なのでは??ということ。公開された当時、テレビ番組で映画評論家のおすぎが感想を述べていました。おすぎが何を話していたかはあまり覚えていませんが、目にいっぱい涙を浮かべ、声を震わせながら映画を絶賛していた情景だけは覚えています。

相当良さそうな作品とは思ったものの、どっと悲しい気持ちになりそうな予感がしてなんとなく避けていた映画。そして心のどこかでずっと気になっていた映画です。

あらすじ

1970年代、アメリカ・ブルックリンであった実話をもとにした社会派ヒューマンドラマ。ゲイバーでステージショーをして暮らしている主人公(ルディ)とその恋人(ポール)が、母親から育児放棄されたダウン症の少年(マルコ)を引き取り、家族のように一緒に暮らすストーリー。彼らの強さ、繊細さ、そして深い人間愛が美しく描かれている。

  • 監督・脚本・製作:トラヴィス・ファイン
  • 脚本:ジョージ・アーサ―・ブルーム
  • キャスト:ルディ(アラン・カミング)、ポール(ギャレット・ディラハント)、(アイザック・レイヴァ)ほか
  • 原題:Any Day Now/アメリカ/2012年/97分

 

感想

差別の問題、偏見がテーマの考えさせられるストーリーで、誰が決めたかわからない世間の常識が軸となって展開されていきます。

育児放棄気味の実の母親と主人公カップルがマルコ少年の親権争いをしているシーンで、親権というものは世界中のどんな国でも本当の母親にはかなわない、というような弁護士によるエピソードがありました。

そんなやりとりを見て、わたしは『ガリバー旅行記(ジョナサン・スウィフト著)』という有名な冒険小説を思い出しました。主人公のガリバーが迷い込んだある国では、生まれたこどもたち全員が学校のような施設に入れさせられるのです。その理由は、血がつながっているというだけで、こどもが親を敬わなければいけない、親に従わなければいけない、というのはおかしいというもの。一方、親はこどもへ愛情を注がなければいけないと重荷を感じる必要もない、こどもを育てるのが苦手な親もいるのだ、と。

そんな考え方をする斬新なひとつのストーリーがありました。決してネガティブな意味ではなく、ただ一人の人間として何のしがらみもなく成長することを良しとする世界観。こどもは国の、そしてみんなの宝だという考え方です。何が正しいかはわかりませんが、真っ向から否定できる考えではないような気もします。

この『チョコレートドーナツ』という映画は、いつの間にか決められた社会のルールや常識って何なんだろう?それって一体何の役に立つの??誰のための法律なの?そんな言葉が頭をよぎります。誰かを大切にしたいという魂レベルの愛情、そして人間の尊厳について考えさせられる作品でした。

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